2017/12/13 | やまがた里山養蚕染織研究所 | しんしんと始まる、白い季節 染織工芸
師走の風は、山形の天気をころころと変えていきます。
鉛色の空が続いていたら、青空に色を変え、
貴重なお日様が顔を出したかと思ったら、
屋根をたたく、あられの音。
そして気がつけば、真っ白に染まった景色。
季節の流れの早さを感じながら、
一年の思い出をゆっくり振り返っています。
工房の裏庭で、色たちが賑やかにしていた秋の風景も
しんしんと白い世界に変化しました。
これからが冬本番! つもって、つもって、、、
雪をはらうと、キラキラと光るナンテンの赤い実!
他の季節に比べて、色を感じることが少なくなりますが
所々に隠された色をさがす楽しみも、山形の冬ならでは。
楽しくも厳しい冬の寒さは始まったばかり。
桜の葉で染めた糸と一緒に
あたたかい春の訪れを待ちたいと思います。
2017/11/14 | やまがた里山養蚕染織研究所 | フォトジェニックな冬の気配in白鷹
11月7日に立冬を迎え、昼間の日差しも、冬の儚い光に変わってきました。
立冬を迎えると、白鷹では紅葉がその彩りを深めます。
養蚕所から見える、見事に色づいた、朝日連峰・飯豊連峰。
奥に見える大朝日岳に、真っ白な冠雪が見えると、冬が来る合図です。
ひときわ寒さの凍みた先日、初氷が張りました!
いよいよ、長い冬の始まりを感じます。
・・・そして、山形の冬と言えばこれ!
研究所のお蔵の前に、干し柿を吊るしました!
この柿は、養蚕所内の柿の木から収穫したものです。
寒さの増す白鷹町ですが、陽の出る日も多く、
柔らかな冬の日差しの中で、ゆっくりゆっくり甘くなっていきます。
自然の中で、時間をかけて味わいを深めていく干し柿。
高級なスイーツにも負けない、冬のおやつです!
養蚕や、草木染、手織りも同じく。
自然の恵みから、時間をかけて生まれるものを、大切にして行きたいですね。
自然の美には、自然の素材が良く似合う!
研究所の木造の建物と、紅葉の相性は抜群です。
窓に写り込む紅葉、地面に絨毯のように振る紅葉・・・
研究所は、フォトジェニックな冬の気配で溢れています!
2017/9/29 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 収穫の秋。晩秋繭。
※この記事には、少しお蚕様の写真が含まれています。苦手な方はご注意ください。
「寒い!」という声が聞こえてくるようになった今日この頃。
白鷹町では、秋の風景が日に日に増えていきます。
養蚕所では、
晩秋繭の収穫が無事に終わりました!
今年は、残暑が無く、潔く秋になった気がします。
桑の葉は、寒いと硬くなりやすく、
また雨の日も多くて
病気の不安も強かった今回ですが、、、
お蚕さま、無事に繭をつくりはじめ、ほっとしました。
秋の陽を受けながら、
しっかりと締まった良い繭になりました。
毛羽を取り、綺麗にする前の、繭です。
繭のまわりのフワフワした毛羽は、お蚕さまが足場のために
最初に吐いた糸です。
「獲れたての繭!」という感じで、なんだか愛おしく感じます。
この毛羽は、「マユクリン」という機械を使い、綺麗にします。
毛羽が剝かれ、艶つやの繭が、次々と出来ていきます。
今までの疲れがふっとぶ、至福の時です!
澄んだ秋の陽のような、良い繭になりました。
素敵な着物になりますように、願いを込めて、出荷です!
白鷹担当
2017/9/18 | やまがた里山養蚕染織研究所 | お蚕様の、ご先祖様。
※この記事には、お蚕さまの写真が含まれています。苦手な方は、ご注意ください。
台風が通り過ぎた白鷹では、大きな虹が掛かりました。
うっすらと霞む山々に重なって、とても神々しい一瞬の景色でした。
秋も次第に深まってきた今日この頃。
今年は残暑が少なく、気温がなかなか上がらなかったので、お蚕さまの桑を食べるペースもゆっくり。。
それでも、ゆっくりゆっくり、順調に大きくなりました。
背中の脈が、トクトクと波打つのが見えるようになりました。
糸を引きはじめるまで、あと一息です。
・・・ところで、突然ですが、お蚕さまの、先祖をご存知ですか??
この時期、桑取りをすると、桑に紛れ込んだその姿を見ることができます。
それが、こちら!
「クワゴ」という、ヤママユガの一種です。
白鷹の方では、「山御蚕(やまおこ)」と呼んでいる方も居ます。
頭部の目玉模様、背中の勾玉模様と、お蚕さまと同じような模様ですが、
真っ白なお蚕さまと違い、木の枝のような茶色をしています。
また、お蚕さまと違い、人の手を嫌がり、ちょっと目を離すと、あっと言う間に逃げてしまいます。
左が、お蚕さま(家蚕・かさん)の繭、右が、クワコ(野蚕・やさん)の繭です。
まず、色合い、糸の総量がまったく違うことが分かります!
触ってみても、お蚕さまの繭はさらさらと優しい手触り、
クワコの繭は、少し硬く、カリカリとしています。
お蚕さまの歴史は、紀元前数千年も前の中国から始まったと言われています。
何千年もの時を重ねて、人の手の中で、優しく美しい糸をたくさん造るよう、
姿を変えてきたお蚕さま。
じっと繭を見比べると、なんだか、壮大な時間と歴史が、目の前にあるように感じます。
お蚕さまの歴史に思いを馳せながら、
今年最後の繭ができるまで、もうひと頑張りです!
2017/9/ 6 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 晩夏の色たち
9月になり、徐々にすごしやすい気候になってきました。
染織工芸の小さな畑では、春に種をまいた藍やコブナグサが、
夏の日差しを浴びてぐんぐんと育っていきました。
蓼藍。良い色に染まりそうな青々とした葉が繁っています。
コブナグサも元気いっぱいです。
濃度や糸の種類、媒染の違いなどで様々な色が染まりました。
(手前が藍の生葉染め、奥が媒染の違うコブナグサで染めた糸です。)
涼しくなってきて、ちらほらと藍の花が咲き始めました。
花が咲くと良い色に染まらないので、急いで染めなければ…と急かされる日々です。
ところで、先日オープンした「青山とみひろ」皆様ご存知でしょうか?
染織工芸で織った着物も並んでいますので、どうぞご覧ください。
そして現在工房では10月に開催される貝紫展に向けて誠意製作中です。
そちらもどうぞご期待ください。